この壺は緑泥岩を削ったもので、外側の文様は樹木に向獅子が浮彫りであらわされています。樹木の葉は紡錘型の穴に、今は殆ど失われていますが、トルコ石が象嵌されていました。

穴の内面はトルコ石がよく接着されるための掻き傷がつけられています。向獅子のたてがみの文様は二種類ありますが樹木の葉とともに、手のかかった細工です。

ケルマンからアフガニスタンに至る東イランの紀元前三千年紀頃にこのような一種の標準化された質を持った”ブランド”品が制作され、おそらくラピスラズリロードとほぼ同様の経路をとって、メソポタミア、シリア、ペルシャ湾岸地域の首長、貴族クラスへと交易され、最終的には神殿に奉納されたものと思われます。

この器の精緻な意匠を国際様式<inter cultural style>と呼んでいます。

・C.C.Lamberg-Karlovsky & Maurizio Tosi/ Shahr-i Sokhta and Tepe Yahya: Tracks on  the Earliest History of the Iranian Plateau/ East and West 1973;
・Philip L.Kohl/ A Note on Chlorite Artefacts from Shahr-i Sokhta/ East and West 27   
 1977
古代オリエント地図 Map of Ancient Orient

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