この金杯は器の下部が丸く帯状に突出した、いわゆるマルリク型の形態をあらわし、器底にもマルリク型容器の特徴である幾何学的な花文様が描かれています。
猛禽類が山羊を捉えている装飾意匠で、立体的に現された猛禽類の頭部が、器上の毛彫りで現された胴体につながっているように外からかぶせられ、その接合部はリベットで留め、外部のリベットの頭は接合部と同様に猛禽の羽毛が毛彫りされ目立たくなっています。
これと大変類似したものにマルリクの東、テヘランの北にあたるカラール・ダシュト出土の金杯がありますが、立体的に表現されたライオンの頭部が器から突出している意匠で、接合部はやはりリベット留めされています。
このような立体的な獣の頭部を持った金属器は南イランのエラム王国由来のものがよく知られています。おそらくこのエラムの影響がこの器にもあらわれているものと思われます。
・H.Samadi/Les Decouvertes Fortuites/ Arts Asiatiques VI 1959-3
・P.Amiet / Elam, Auvers-sur-Oise, 1966
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猛禽装飾杯