この愛らしい猫はバステト女神に捧げられた無数の小像の好例である。バステト女神崇拝の中心地はエジプト北部のナイルデルタの中部の都市、ブバステスにあった。1女神の勢力は紀元前950年頃、ショションク王がブバステスをエジプトの首都としたときに興隆した。元来、バステトは獅子の姿で表され、このためやや好戦的な女神セクメトと混同された。しかしながら後の時代には、彼女は猫と結びつけられるようになった。彼女は常に多産の女神とみなされた。容易に頻繁に際限なく繁殖する猫が、この女神のマスコットとなったのは当然の成り行きであった。

関連美術品
猫(バステト)像