この容器に連続的に描かれている鋸壁文付十字形文様は、中央アジア西部の金石併用期(前4千年紀)に作られた彩文土器に最初に出現したモティーフである。十字形文も含めた階段状の文様は、「フッロル遺宝」の金製、銀製容器にみられる。また鋸壁文付十字形はバクトリアで作られた多数の金属製スタンプ印章にも表現されており、古代世界において多くの地域で製作された印章やその他の作品にみられるさまざまの形をした十字形文様と同様に、ある特定の意味をもっていたものと考えられる。

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鋸壁文円筒杯