粒金と金線の細工は古くは紀元前三千年紀メソポタミア・ウルの王墓にみられますが、とりわけエジプト第18王朝トゥトアンクアメン、第19王朝ラムセス二世の王墓からは類似の金線と粒金細工を組み合わせた宝飾品がみつかっています。
またこの帯と同時代のメディアのものとされる金のメダイオン及び犠首にも同様の技法が見られます。
この粒金法(グラニュレーションgranulation)と呼ばれる古代技法は
1.あらかじめ等しい大きさに刻んだ金板の小片を融解点まで熱し、金の小粒を作る。
2.水酸化銅と有機物の混合した糊を使い、1.の小粒を装飾すべき金の表面に接着し、文様を作る。
3.これを金の融解点以下に熱すると有機物は酸化し炭化され、水酸化銅を還元して金板の表面と粒金の表面を銅の点状のはんだで接合することとなる。
この技法は紀元数世紀のうちに消滅し、今世紀後半になって「発見」され復元されました。
・Christiane Desroches Noblecourt/ Tutankhamen/ 1963 New York Pl. XXIa;
・ William Culican / The Medes and Persians / 1965 New York; ・K.R.Maxwell-Hyslop/ Western Asiatic Jewellery c.3000 -612B.C./ London 1971;
・7000 Jahrre Kunst in Iran / 1962 Essen ;
・Carol Andrews / Ancient Egyptian Jewelry / 1990 London
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