現在この皿は断片の寄せ集めになってしまっているが、このような状態になったのは山分けするために皿を分割してしまった発見者たちの貪欲のせいである。しかしこのような状態にもかかわらず、中央の円盤部分の7つの同心円から、繊細に造形されたガゼル頭部形の先端部とそれより大きい畝付アーモンド形の先端部とで交互に終わっている放射状装飾に至るまで、その優雅さは明白に見て取れる。その上、この皿を製作するのに使われた技術は大多数の類品よりも際立って特徴的である。盛り上がった同心円は打ち出しによるものではなく、外面の口縁部直下をめぐっている線と同様に、意図的に分厚く作られた中心部を彫り窪めて作られているのである。ガゼルの頭とアーモンド形の物体も打ち出しではなく、細部に至るまで均一な形を手早く作り出すために背後から型にはめ込んで作られている。
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羚羊(ガゼル)文様皿