平安時代後期 11世紀
彩箋墨書
縦:57.3cm 横:31.5cm
元暦元年(1184)6月,歌人藤原顕家(1153〜1215)が他本との校合を終えたことを記した奥書が巻第二十にあることから,この名がある。桂本,藍紙本,金沢本,天治本などの古写本とともに,五大万葉集の一つに数えられる。
藍と紫の飛雲と呼ばれる模様を漉き込んだ鳥の子の料紙に,薄墨で枠罫を引き,一面六行から八行で書写する。寄合書きで,筆者は十数人に及ぶ。いずれものびのある優美な書風を示しており,なかには「伊予切(第一種)」と同じ筆者も含まれていることからその制作時期は平安時代も11世紀後半にまでさかのぼるものと推定される。 (下坂)
関連美術品
元暦校本万葉集