中国・宋時代 11-12世紀
高:6.5-6.6cm 口径:11.8-12.1cm 高台径:3.9cm
耀変天目として著名なものと言えば,静嘉堂文庫美術館蔵,藤田美術館蔵,大徳寺龍光院蔵の三点であるが,長く紹介されなかったために一般にほとんど知られていない耀変天目がこの作品である。したがって,かつて世界に三碗のみと言われていた耀変天目が四碗存在していることになる。耀変天目については『君台観左右帳記』の「土之物」に「建盞の内の無上なり」とあるように,福建省の建窯で大量に焼かれた建盞の一種であるが,偶然窯中で油滴や建盞とは異なる美しい結晶が生じたものである。
この作品の場合も耀変独特の輝きをもつ斑文が見込みを中心に現れている。ことに先にあげた三碗の場合は結晶体が数点寄った状態であるが,この天目は斑文がそれぞれ独立した状態で発色している。器形は他の耀変天目や建盞と共通するもので,高台も端正に削られ,建盞独特の極めて細かい胎土が見られる。
前田利常以来,前田家に伝来し,前田家の道具帳にも詳しい様子が記載されている。箱蓋表の銀粉字形「曜変」の文字は小堀遠州の筆と言われ,青貝の天目台と二重蔓牡丹唐草金襴の袋が添っている。『大正名器鑑』所載。 (赤沼)
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