朝鮮王朝時代 16世紀
高:7.4cm 口径:15.0cm 高台径:5.2cm
井戸茶碗は作行きの違いによって,大井戸,青井戸,小井戸,小貫入の四種に分けられているが,言うまでもなく焼かれた窯は同じであり,また焼造年代もほぼ同時期である。井戸茶碗はすでに桃山時代天正年間からその名称が使われており,当時を代表する茶人や武士が所持していたらしく,以来わび茶の茶碗の最高峰に位置づけられてきた。
この「金森」と呼ばれる井戸茶碗に関しては伝来など詳しくは不明であるが,あるいは金森出雲守所持の茶碗であったのであろうか。口が開き,見込みのやや浅い器形は小井戸の特徴とされるところである。しかし,作行きは大らかで力強い。広い見込みの中央には茶溜りがつけられて味わい深い風情をなし,そのまわりに目跡が五つほど残っている。また,高台は低く,高台内の削りは丁寧で,かすかに渦兜巾が見られる。釉はかなりよく溶けて細かい貫入が生じ,高台まわりには細かな梅華皮が現れるなど,見どころの多い茶碗である。 (赤沼)
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井戸茶碗 銘 金森