江戸時代 17世紀
高:22.8cm 口径:9.2cm 胴径:15.5cm 底径:7.8cm
染付で,壷の肩に飛ぶ鷺を一羽描いただけのシンプルなデザインは,一見,李朝染付を思わせないでもない。しかし,肩部が強く張り,胴部下半が締まる形状のものが多い李朝染付の壷のなかに,本例のような倒卵形の肩の張りの弱いプロポーションの類例はほとんど見うけられない。胎土や釉調も考慮に入れれば,伊万里とみなしておいた方が妥当であろうか。
鷺文の裏面に描かれた樹木文は,枝垂柳のような葉を茂らせているが,枝振りから見て柳とは思われず,樹種を特定することは難しい。ピンホールが多く,わずかに青味をおびた白磁釉が,蓋・身とも外面のほぼ全面に施されており,染付の呉須の発色はやや黒ずんだ青である。伊万里であれば,呉須の発色の色合いから考えて,比較的初期のものと思われるが,描かれている鷺文は初期伊万里でしばしば見うけられるものとはいささか趣を異にしている。 (尾野)
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伊万里染付鷺樹木文壺