江戸時代 18世紀 宝永6年(1709)ころか
紙本墨画
縦:52.9cm 横:28.3cm
右手に竹の杖を,左手に小槌を持つ大黒様。背には袋と俵。
光琳の著名な作品と言えば,「燕子花図屏風」「紅白梅図屏風」「太公望図屏風」のように,一般的には著色のものが浮かぶであろう。しかし,光琳には水墨にも優れたものが多いのである。というより,水墨系の作品の方では,光琳は見るからにリラックスした態度があって,光琳の真骨頂は水墨画の方にあるとする見方さえある。
よく考えれば,光琳が学んだ俵屋宗達においても事情は同じだったのではないか。
光琳は,本図において,たとえば黒線の内側に薄墨の隈を入れたり,大黒様の髭を描いたその上にやはり薄墨を刷いたりするなど,一見ラフに見える描き方だが,実は丁寧な仕上げをしているのである。こうした神経の張りめぐらし方は,のちに現れる長沢蘆雪などにも受け継がれているものである。 (狩野)
関連美術品
大黒図(尾形光琳筆)