本図は、伏見城御殿を華やかに飾っていた、いわゆる「桃山百双」と呼ばれる意匠性に富んだ金屏風に倣って作られたとされる柳橋水車図屏風である。量産されたらしく、同じ図柄の屏風がいくつも伝わっている。川に架かる橋は緩やかに湾曲し、画面左の水面には水車と蛇篭が配され、画面右上には月が浮かぶ。右から左に進むに従って生長する柳葉は、春から夏への季節の移ろいを表す。宇治川屏風にその起源が求められると考えられることから、金地の華やかな屏風は装飾性だけではなく、極楽浄土への希求が表現されているといえよう。
関連美術品
柳橋水車図屏風(伝長谷川等伯筆)