人物をかたどったはにわには、全身(ぜんしん)をあらわしたものと半身(はんしん)をあらわしたものとがあり、しかもさまざまな動作(どうさ)が表現(ひょうげん)されています。とくにその顔(かお)の表情(ひょうじょう)は、単純(たんじゅん)にくり抜(ぬ)かれた目と口に粘土(ねんど)を張(は)りつけただけの鼻(はな)なのに、とてもいきいきとしています。緊張(きんちょう)して少しこわばった顔、あどけない顔、物悲(ものがな)しげな顔、笑(わら)ったり、はにかんだり、おどけたり。はたして作った人にそんな作意(さくい)があったのかどうかはわかりませんが、単純(たんじゅん)でつたない作りの中に見られるほんの少しの変化(へんか)に、喜(よろこ)び、怒(いか)り、哀(かな)しみ、楽(たの)しさなどの表情を感じるのは現代に生きる私たちだけなのかも知れません。

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