この作品は注口と把手のつけられた銀器であるが、把手を他にすればその形態は西アジアでは長い伝統のあるものである。把手の上の鴨に似た鳥の意匠は前一千年紀エラムの陶器にその類例を求めることができるがその関連性は疑問である。器壁に描き出された豹のような猛獣が牡牛を襲う意匠は他に見られないものである。この組み合わせは古代の星座の組み合わせに相当し新年を象徴する重要なものであったと想像される。この動物闘争意匠は、この伝統的な組み合わせがユーラシアステップ由来の動物闘争意匠に転換されたものであった可能性が考えられる。

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注口把手付容器