一羽の山鳩が梅の古木にとまるさまを、没骨描法を基本に、濃墨淡墨を巧みに織り混ぜ描く。樹幹を濃墨で、鳩を淡墨で表現する等、対象により墨の具合を描き分けており写実の面でも意が払われている。なかでも渇筆で描かれた天空に伸びる一本の枝には武蔵の気迫がこもっており印象的である。なお、画面右下に朱文扁額形印「二天」を捺す。

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紅梅鳩図(宮本武蔵筆)(重要文化財)