前三千年紀後期―前二千年紀初期

高26.0 cm 幅32.4 cm
 前半身の毛並み表現、俯き加減の体勢、尻尾の垂れ具合など作品6に見られるものと極めて類似した形象をもち、筋肉の的確な成型と喉の弛みなどに見られるように大変現実味のある牡牛を鉛で作り出している。背中に矩形の把手が付けられているが、元来分銅として作られたことが想像される。これと同時代と思われる鉛の分銅が知られているが、それは円盤形で中央に同形の牡牛を線刻で表し、その上に矩形の把手の穴があけられ、周囲には透彫で鋸壁文を配している。これに対しこの牡牛像は優れて、彫刻的である。
 古くからメソポタミアと資源交易が行われてきたイラン、バクトリア地域では、メソポタミアの60進法秤量システムよりも比較的早く10進法秤量システムが発達した。その単位は約0.86グラムにあたるが、この牡牛の10,430グラムに当てはめた場合、およそ12,000単位になる。インダス川流域やバクトリアではこの半分の重量の分銅が知られている。

関連美術品
牡牛像形分銅