色絵和歌陶板 八枚 図録解説
 陶板を色紙に見立て、歌意に合わせて絵を描き、そこに和歌を書き散らした作品です。やまと絵風の絵と和歌が実にうまく配されています。和歌の散し方には、雁行法・木立法・九十九三法・二段散らしなどさまざまな手法がありますが、乾山は絵の余白にあたる部分にうまく合った手法で和歌を散らしています。また、禅画に見られるように余白の効果を利用して、全体のバランスをうまく取っているともいえます。明治の元勲でコレクターでもあった井上馨旧蔵のこの作品は、その包袋に「鳥の画表具」と記されており、元は風炉先屏風に嵌め込まれていたものと伝えられています。

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乾山色絵和歌陶板