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晋の太元年間、武陵に魚取りを生業とする一人の男がいた。
ある日、谷川に沿って舟を漕いでいくうちに、突然一面に咲きそろった桃の林に出会った。
桃以外の木は一本もなく、不思議に思ったその男は、更にさかのぼって、その林の奧まで見届けようとした。
林は水源の所で尽き、山のふもとの小さな穴からは、光線が反射しているようであった。そこで、舟から降り、その入り口に入っていくと、最初は狭かった道が急に開け、立派な家屋が立ち並び、良い田畑、美しい池、桑や竹のたぐいが一面に見渡せたのである。
道は縦横に通じ、そこで働く人々も、実に楽しそうであった。
村の人々は、漁師をみるとひどく驚いたが、酒の支度をし、鶏を振る舞うなどのご馳走でもてなした。
漁師はそうして村人の家々で、数日間歓待を受けながら、村をあとにし、町にもどり、その間あったことを太守に話し、もう一度その不思議な村に戻ろうとしたが、二度とその村を見つけることはできなかった。深い緑に包まれ、なだらかな坂道を登り、トンネルと橋を渡ってはじめてその姿を表すMIHO MUSEUMは設計者I.M.ペイ氏の桃源郷への思いが深く込められています。
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