![]() とうふは織部釉のお皿で供される。ホウの木に本漆を塗った、とうふ用の匙でどうぞ。 |
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![]() 舌に乗せるとなめらかに溶けて、甘い香りが口いっぱいに広がる・・・これはアイスクリームでもプリンでもありません。 そう、おとうふです。大豆の甘みとこくとはこういうものかと、つくづく感じさせてくれるこのおとうふ、実はこんな誕生秘話があるのです。 ![]() 自然の農法で作られた大豆が届き、「これで豆腐を作ったらどんな味?」と、京都の豆腐屋さんに豆を持ち込んでお願いしたのが最初です。結果は大失敗。お豆腐屋さんは良心にかけて「こんな失敗作は出せません。」と拒むのを口説き落とし、食べてみたら「えっ、おとうふ?」と、驚く甘さとなめらかさ。確かに湯豆腐や味噌汁に入れたら、溶けて無くなってしまう代物ですが、まったく新しいお味に「ぜひ、これでいきましょう。」と、美術館の裏手に豆腐工房を立ち上げたのが、MIHO MUSEUM の名物、とうふの始まりです。 ![]() やがて大豆が各地から届き始め、使ってみると全部性格が違います。そんな中で北国の大豆は、小粒で地味な存在でした。ところがとうふになると、これがものすごい甘みで、豆乳がさらっとしている。ならば、思い切り濃い豆乳でとうふを作ってみよう、と実現したのがこのとうふ。豆乳の濃度は、普通の豆腐で12〜13度、有名店でも15度くらいらしいのですが、ここでは17度の豆乳でおとうふを作るようになったのです。 ![]() その内に、沖縄で昔ながらの塩作りをしている方が、副産物である自然のにがりを、幸いにも分けて下さることになりました。けれども添加物である消泡剤は、自然のものがありません・・・。 ![]() さて、一昨年は天候不順で、大豆が不作でした。MIHO MUSEUM でも材料が足りず、おにぎり膳のお客様にとうふを召し上がって頂くのが精一杯、以前のようにお持ち帰り頂くこともできず、職人さんはちょっとお暇に・・・いえいえ、そうではありません。彼らはこの機会に、果敢にも消泡剤なしの豆腐に挑戦したのです。消泡剤を入れないとどうなるか、炊いた豆の何倍もの泡が出て、できたとうふは穴だらけ。けれども炊く分量が少なければ、泡を消せるのではなかろうか? ![]() そこで炊いている最中に、蓋を開けてはかき混ぜて、蓋を閉めては水をかけ、温度を抑えて必死に泡を消してみました。すると何とか消泡剤なしでも、なめらかなとうふが出来たのです。 ![]() 今年は大豆も豊作で、お持ち帰りとうふが復活します。今も進化しつつあるMIHO MUSEUM のおとうふ、ぜひ一度お試しあれ。 |
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MIHO MUSEUM のレストランと喫茶室では、こんな理想に向かい、食材を厳選して仕入れています。農薬も化学肥料も除草剤も使わないお野菜や果物はおいしくて、農薬を使った野菜を食べない虫や鳥たちに狙われるそうですが、貴重な収穫を届けて下さる、自然派のお百姓さんたちに私達は支えられています。![]() とうふやパン・お菓子は専用工房があり、野菜の下拵えは勿論、栗を剥くのもみかんジュースを絞るのも、材料から直接行っています。醤油やみりん・お酢をはじめ、日本で作るのが難しかった砂糖や塩も、ようやく自然の素材だけで作ったものが、手に入るようになりました。 |