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木津川沿いの古寺を訪ねて
伊賀上野から加茂へ
 信楽町の国道307号線立石橋交差点から国道422号線を南下、伊賀上野をめざします。途中県道674号線を迂回すると道もよく時間も短縮されますが、蝉時雨と緑の中を行く422号を選択。くねくねと曲った山あいの道を30分程走ると「松尾芭蕉生誕の地」また「忍者の里」として有名な伊賀上野の街に着きます。

  最初に訪れたのは、市街地の南西部にある西蓮寺。国道163号線を西に向かい、木津川に架かる新長田大橋を渡った静かな田園の中にあります。

@西蓮寺(さいれんじ)
  緑の木々に包まれた石段をのぼり山門をくぐると正面に本堂。西蓮寺は最澄(さいちょう)の創建で、もと観音寺と号したと伝わりますが、明応年間天台真盛宗の開祖、真盛(しんせい)上人が入山して念仏会を開き、寺名を西蓮寺と改めました。真盛に深く帰依した後土御門(ごつちみかど)・後柏原(ごかしわばら)両天皇の庇護を受け寺は栄えましたが、震災にあい崩壊、現在の堂宇は明治の初めに復興されたものです。本堂裏の墓地には、真盛、後土御門院とその第二皇子尊盛(そんせい)法親王の五輪の供養搭があります。 西蓮寺
【西蓮寺】●三重県上野市長田 お問合せ/TEL.0595-21-4111(上野市観光課)・TEL.0595-24-0270(上野市観光案内所) 近鉄伊賀線上野市駅下車、島ケ原駅前行バスで「長田」下車、徒歩10分

  再び国道163号線を西へ、青々とした竹林の中を走ります。島ケ原村に入り駅方向に北上、木津川の土手に沿った道を正月堂にむかいます。

A観菩提寺(かんぼだいじ)「正月堂」
  天平年間に聖武天皇が造立した行宮(あんぐう)を、実忠和尚が752年に改修、建立したのが開基とされる由緒ある古寺です。歴代天皇の帰依を受け隆盛を極めましたが、天正年間の兵火により多くを焼失、のちに再建され今にいたっています。兵火を免れた本堂、楼門と本尊は国の重要文化財となっています。特に本尊の木造十一面観音立像は、33年に一度だけ開帳される秘仏で、次は2015年との事です。 観菩提寺
【観菩提寺】●三重県阿山郡島ケ原村中村 お問合せ/TEL.0595-59-3080 本堂拝観料/300円 ※要予約 JR関西本線島ケ原駅下車、三重交通バス「正月堂東」で下車

  三重・京都の府県境を越えると、京都府唯一の村、南山城村。役場の手前の信号を右折してすぐ、「へらぶな」の看板を目印に路地を左折すると…。
B春光寺(しゅんこうじ)  
  真言宗智山派に属する無量山春光寺の本尊は、カヤ一木造りの木造薬師如来立像。平安時代の初期に作られたこの仏像は、かつてこの地の文化が奈良地方の影響を強く受けたことを物語り、奈良文化圏の作風をみごとに引き継いでいます。艶やかな頬とふくよかなシルエットは、一木造りでは他に例が少なく、国の重要文化財に指定されています。 春光寺
【春光寺】●京都府相楽郡南山城村 お問合せ/TEL.07439-3-0101(南山城村役場) JR関西本線大河原駅下車、徒歩20分

  南山城村から加茂町にかけて、木津川をトレースするように国道163号線を走ります。右手に緑の木々、左手にはゆったりと曲がりくねった大河を見ながら、しばし快適なドライブを楽しむことができます。かつて短命の都「恭仁京」があった辺りから、加茂市街地に向かって44号地方道へ。加茂は、歴史と文化が薫り、悠久の時を刻むまちです。

C現光寺(げんこうじ)  
  創建年代・寺歴とも明かではなく、竹林の中の小さな寺ですが、江戸時代には隆盛を極め、盛大な法要が営まれた記録が残っています。本尊は、珍しい座像の十一面観音菩薩で、国の重要文化財。戒律に厳しい寺だったらしく、「飲酒」を禁じた石柱が本堂横に残っています。 現光寺
【現光寺】●京都府相楽郡加茂町北山ノ上 お問合せ/TEL.0774-76-2970(加茂町観光協会)・TEL.0774-76-3611(加茂町役場) JR関西本線加茂駅下車、徒歩20分
D常念寺(じょうねんじ)  
  1490年、真盛の弟子盛憲が創建。往時は末寺十カ寺を数えましたが、その後衰退、1712年には大洪水で堂宇を流失し現在の地に再建されました。本尊の阿弥陀如来立像のほか、珍慶(ちんけい)作の閻魔十王像や涅槃(ねはん)図など多くの寺宝があります。 常念寺
【常念寺】●京都府相楽郡加茂町里 お問合せ/TEL.0774-76-2970(加茂町観光協会)・TEL.0774-76-3611(加茂町役場) JR関西本線加茂駅下車、徒歩10分



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