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MIHO MUSEUMごちそう編
おいしいって 美しい
あったかいおむすびの巻

   大きなお釜のふたを開けると、ごはんの湯気がいっぱいに拡がる。手も顔も真っ赤にしながら、ふんわり握るあったかいおむすび。海苔の香り、胡麻、塩、梅干、佃煮、味噌と地物の野菜。あたりまえだけど一番おいしい、それがMIHO MUSEUMのおむすびです。

   そのあたりまえ、ちょっと聞いて下さい。

   お米は試食で選ばれます。最初に集まって来るお米は、全国から約20種類。どれも農薬・化学肥料なしで育てて10年前後は経っている、貴重なお米ばかりです。

   海苔は、東京の老舗寿司屋が使う本場仕入れ。
   塩は沖縄・宮古島の海水を、天日と釜で煮上げて作った手造り塩。
   梅干は、梅・紫蘇・塩を持ち込んで、漬けて頂いた特別製。
   味噌・醤油も、大豆、麹、塩、小麦を持ち込んで、作って頂いた特別製。
   胡麻は、ごみや形の良くないものを、手作業で取り除いた粒揃い。
   醤油と炊き合わせる佃煮は、筍、茄子、ごぼう、たらの芽、ふきのとう、昆布、蓮根、ふきなど様々、味噌には刻みねぎを香り高く合わせて、胡麻をまぶしたおむすびに。 古代米のおむすびは、塩味だけで召し上がって頂きます。

   そして全部の材料が、正真正銘農薬化学肥料なし、保存料なし、添加物なしの代物です。

   こんな材料ばかりだから、おむすびを握る職人さんは、こう思うそうです。やさしく握ろう、あったかい内に食べてもらおう。海苔も胡麻も塩も野菜も、全部の味を感じてもらおう。ほわほわの内に、ぱりぱりの内に、しゃきしゃきの内に、まったりの内に、香りを全部吸い込んでもらおう。ごはんがお口に留まって、他の味といろんな和音を奏でていく、そのためにお米はふっくら、柔らかく結ぼうと。

   自分たちが届けるのは海や土の息吹、作物たちの命、育てた人の心、携わったみんなの思いだから、全部一緒に優しく結んで、お客様に供します。

   さて今からもう10年以上も昔、MIHO MUSEUM に形を与えた建築家ペイさんが、この山を訪れました。人跡未踏のこの地に初めて、人が作った細い道。山越え谷越え辿り着いた頂上で、出てきたお昼は竹の皮に包まれたおむすび。いつか美術館が建つのだと、夢膨らませて頂いたおむすびのように、みんなの願いが結ばれて、MIHO MUSEUM は誕生しました。

   今もレストラン・ピーチバレーで、みんなで頂くおにぎり膳。ピーチバレーは桃谷で、桃谷とはペイさんがこの山の上で、ふと思い出した桃源郷のこと。なんだかこのおむすびの中に、MIHO MUSEUM の種が、しっくりと結ばれているようです。
塩の故郷、沖縄・宮古島の海
レストラン ピーチバレイ/レセプション棟
カフェ パインヴュウ/南館B1F

   お客様に召し上がって頂くものは、添加物を入れず、自然のもので作りたい。
 

網に海水を伝わらせて10日から2週間、太陽熱と風によって海水の濃度を上げる。

大釜で7時間ほど炊く。後半はまろやかな塩にするために、混ぜ続ける。

3時間ほど炊いたところで、最初に結晶するアクやゴミを布で濾し取り、更に炊き続ける。

結晶した塩を、袋に詰めて、脱水すれば出来上り。



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