北館 1998秋季展作品紹介 |
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重要文化財
えんまてんぞう
焔摩天像
平安時代(12世紀)
絹本著色 縦155.8cm 横84.5cm
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この焔摩天像は明治の大コレクター原三渓の旧蔵。平安時代12世紀頃に描かれましたが、美しい色が驚くほどよく残り、当時の仏教に内在した美を今日に遺憾なく伝えています。これは除病、延命、息災を祈る焔摩天法という密教の修法の本尊だったと考えられています。画像の前に壇を設け、定められた法に則って修法することにより、祭主を脅かす目に見えない存在を、焔摩天の威力で退散させようとしたのです。 もっとも焔摩天そのものは、釈迦よりも古い歴史をもちます。もともとインド古代神話のヤマという神で、太陽神ヴィバスバットの息子として生まれました。彼は人々の為に冥界へと旅立ち、人類最初の死者となって死者の安住する楽土を発見し、冥界の王となったとされます。後にヤマは死者を裁く役割を与えられ、冥界も地獄のイメージを合わせ持つようになりました。 この画像では、やさしく神秘的な表情、ふくよかな肢体に朱みがさし、何気ない牛の眼差しにも古い知恵が宿っているかのような力が感じられます。 焔摩天像の展示期間は11月3日(火)から11月8日(日)までの6日間。 |
ちょうじゅうじんぶつぎがだんかん
鳥獣人物戯画断簡
(甲巻)
平安時代(12世紀) 紙本墨画
擬人化された様々な動物たちが登場する高山寺蔵の絵巻の断簡。動物の動きが実に生き生きと表現されており、作者の愛情溢れる眼差しが伝わってきます。しなやかに風にそよぐ秋草が印象的な大和絵の逸品です。
【11月3日から12月15日まで展示】
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ぼさつりゅうぞう
菩薩立像
平安時代(10世紀)木造
この像は観音像と思われ、両足先と足のほぞ以外を桧の一材から彫り出し、元は薄い採色を施されていたらしい。指先をピンと伸ばして掌を前へ向けた姿は、平安時代前期の古像にときどき見うけられます。丸い顔に小さな鼻、あまり伸びない目や口が醸し出す落ち着いた雰囲気は、仏師康尚(こうじょう)の活躍した10世紀末の風が感じられます。
【9月1日から10月18日まで展示】
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しゅうるしぬりおおばん
朱漆塗大盤
室町時代(15世紀)木製朱漆
欅(けやき)の大木から切り出した材を、鑓鉋(やりがんな)で盤状に成形、円形に浅くくり込んだ表面のみ黒漆を塗布して下地をつくり、朱漆の上塗を施しています。素木のままの部分の鑓鉋の痕跡が豪放な気分を盛り上げています。長年の使用に耐え、摩滅する度に深まっていく幾重にも塗られた漆の肌合いこそ、まさに根来の真価を示すものといえるでしょう。用途は明らかではありませんが、東大寺伝来といわれています。
【9月1日から10月18日まで展示】
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けんざんいろえたつたがわずむこうづけ
乾山色絵竜田川図向付
江戸時代(18世紀)
乾山は京焼を大成した野々村仁清に製陶法を学んでいますが、その色絵の手法は大きく異なっています。透明釉の上に絵付をした仁清に対し、乾山は先に絵を描いて釉を掛ける逆の方法をあみ出して、絵付をより絵画的なものに近づけています。この向付は型で成形された画一的な器胎にもかかわらず、紅葉の配置や流水の動きに微妙な変化をもたせたデザイン感覚には目を見張るものがあり、乾山の代表作として位置づけられる作品といえます。
【11月3日から12月15日まで展示】
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