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2008年夏季特別展
聖なる酒器

その器をギリシア人は
リュトン −流出の器− と呼んだ

リュトンは儀式などで液体を地や他の
器に注ぐためのもので、古くはケラス
(角)とも呼ばれた角形の器でした。
そしてその角形の器には、しばしば
動物の形が付けられました。牡牛形リュトン
リュトン 牛形注口土器
牛形注口土器 北イラン 前1000年頃
中近東文化センター附属博物館
牡牛形リュトン 西アジア 
前1−1世紀 土器
一万年程前から角形の器も動物形の器も作られて来ました。特に動物形の器は実用性を超えた特別の器でした。
それは農耕、牧畜、狩猟など、日々の営みに密着した祈りの表現だったのです。
語りかける いにしえの器たち

人々は天空を仰ぎ その営みを正した
そして星座が生まれた

彼らの営みの中で、雨季が到来する冬から、太陽と生命が復活する春に至る時期が特に重要でした。獅子座、牡牛座、牡羊座、牡鹿の星座(カシオペヤ座付近)などはこの季節を代表するもので、これらの星座の組合せは豊穣、多産、復活、再生などを象徴しました。
動物装飾水差
動物装飾水差 前アケメネス朝ペルシア
前8−前6世紀 銀
2008年7月12日(土)〜8月17日(日)
ライオンと牡牛形容器
ライオンと牡牛形容器 前アケメネス朝ペルシア
前8−前6世紀 銀、金

こうした動物の組合せは、ライオンが牡牛など偶蹄類を襲う、「闘争文」に発展しました。後に都市国家が誕生すると、ライオンは強大な王権を象徴するようになり、「闘争文」に込められた季節の意味合いは薄れて行ったようです。



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