Back Next Prev


2012夏年季特別展
空想動物の世界
聖なる古代の物語
2012年7月7日(土)〜8月19日(日) Invitation to the Monster World  Tales from the Mythic Past
古来、人間はその力をこえた存在、角や牙のある野獣、翼と鉤爪を持った猛禽といった強豪な動物に神の力を見ました。抗しがたい自然現象もこうした動物のイメージとつながりました。そして動物や人間を組み合わせた「空想動物」がつくり出されました。それは神々や精霊の姿であり、人々が強い祈りを寄せたものだったのです。本展は、地域や時代をこえて普遍的なもの、西から東、東から西へと、同じような怪物が様々に変容していったものなど、国内外の作品120点余りの語る古の物語を探訪します。 有翼精霊形ペンダント
アケメネス朝ペルシア
前4世紀頃 金に貴石象嵌 守護精霊
ペルシアでは西アジア伝統の守護精霊ライオン・グリフィンに野生山羊の角をつけました。このペンダントは更にその体をエジプトの王の守護神ホルスの形につくり、西アジアの守護精霊の二対翼をつけています。古代オリエントを東西にまたがるペルシアならではの、最強の守護精霊表現だったのでしょう。
主催 MIHO MUSEUM 古代オリエント博物館 京都新聞社
協力 タジキスタン共和国国立考古博物館 平山郁夫シルクロード美術館 石洞美術館 伊山文庫
後援 滋賀県 滋賀県教育委員会 NHK大津放送局 BBCびわ湖放送 エフエム京都
有翼神霊坐像 銀、エレクトラム 翼と角 英雄と有翼牡牛形容器
前アケメネス朝時代
前7世紀〜前6世紀
銀、金
有翼神霊坐像 銀、エレクトラム 英雄と空想動物
西アジア美術では、人面の空想動物、次いでこれと格闘する英雄が登場しました。この器は西アジアで最も有名な英雄譚、ギルガメシュ叙事詩の一場面を連想させます。神の使いの怪物をしのぐほどの強い権力を持った英雄は、神話では永遠の命を得ることはできませんでしたが、この器から注がれた液体には超自然の力がみなぎっていたのでしょう。 英雄と有翼牡牛形容器
前アケメネス朝時代
前7世紀〜前6世紀
銀、金
有翼神霊坐像(左)銀、エレクトラム
有角神霊跪坐像(下)エレクトラム
東南イランか 前三千年紀末〜前二千年紀初頭
有角神霊跪坐像 エレクトラム
二つの像は、おのおの翼と鉤爪、角と蹄という聖なるしるしをつけています。おそらく天と地の神々をあらわしたもので、天候や豊穣あるいは豊猟を願った神々だったのでしょう。メソポタミア神話でウルクの東のかなたにあるという、シュメールに匹敵する古代都市「アラッタ」の人々が祀っていたのかも知れません。
仔鹿形リュトン
黒海沿岸地域 前4世紀
銀に鍍金 ギリシア神話で最も人気の高い英雄ヘラクレスは、神託の結果多くの難業を行いました。この器には、第四の難業に赴く途上、半人半馬のケンタウロス族の洞窟に立ち寄り、歓待される英雄が刻まれています。神話ではこの後、酒ぐせの悪いケンタウロスはことごとく英雄に成敗されてしまいます。これは自制をうながす酒器だったのでしょうか。



Back Next Prev