ゴールドバンド装飾瓶
ゴールドバンド装飾瓶
イタリア 紀元前後 
平山郁夫シルクロード美術館蔵
  青、緑、アンバー、白と金箔入りガラスが器を巡る。大理石の縞模様を模倣したマーブルガラスは数々作られたが、人間の作り出した色は、ついに天然の色彩を凌駕したと言えるだろうか。
  この作品は、組み合わせたガラス紐を型に入れて制作されており、おそらく香油入れに使われたものだろう。紀元前後に作られたガラス作品の中でも贅沢な品であり、当時としても極めて高価だった数少ない作品である。
瑠璃碗
ササン朝ペルシア 5世紀−7世紀
平山郁夫シルクロード美術館蔵
  正倉院の白瑠璃の碗に勝るとも劣らない貴重な品である。中を覗くと一つ一つのカットが煌めきながら映り合い、ガラスならではの美を宿している。ササン朝ペルシアで制作されたとされるこの碗は、はるばるシルクロードを通ってもたらされたが、おそらく主要な輸出品目として大規模に生産されたのだろう。北はスカンジナビア半島から極東の日本まで、このガラスの破片が出土している。
  分厚い吹きガラスを成形し、冷えてからカットを施し、磨きを掛けるが、このカットと磨きは現代の機械技術を駆使しても数週間を要する大仕事で、古代の職人の苦労のほどが偲ばれる。輸送に必要な強度と、どの文化にも受け入れられる幾何学文様は、当時のユニバーサルデザインとして非常に優秀な輸出品だったと考えられる。
瑠璃碗
碗
碗
東地中海地域 前1−後1世紀
MIHO MUSEUM蔵
  銀化とは経年によりガラスの表面が層状となり、光を様々に屈折させる現象である。いわば時が与えた偶然の色彩なのだが、人間には思いも及ばない色彩を呈し、やはり自然にはかなわないとの思いを抱かせるほどの、美しい輝きを見せる。この作品は制作当初は薄茶色の碗であったが、外側を覆うプラチナに輝く銀化と、それが取れた下地に現れるぶどう色やグリーンの色の組み合わせが、出色である。



Back Next Prev