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古代ギリシアの喜劇作家アリストファネスの作品に、ギリシア人の使者が、当時の超大国ペルシアの宮廷を訪問し、大いに歓待を受けた場面が描かれている。ペルシア人はストレートの甘いワインを、金や透明ガラスの器に注いでもてなしたという。まさにこの作品が、その器であったかもしれない。獅子の彫刻、全体が角形で同心円状のカットを持つことなど、当時のペルシア風デザインが遺憾なく反映されている。
鋳造によって作られ、アンチモンという物質を入れて天然ガラスの色を消したことが分かっている。ガラスの透明度や丹念なカットを見れば、極めて高度な知識と技術を駆使して作られたことがわかる。ガラスの角杯でこれほど完璧に残された作品は他に類例がなく、珠玉の名品と言えよう。 |
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南イタリアのカノッサ墓から発見されたヘレニズム時代の数々のガラス製副葬品は、世界を驚かせた。ほとんど類例のない大形モザイクガラスの皿や豪華なカットガラスに並んで、この作品が発見された。
ゴールドサンドイッチという技法で作られたこの碗は、金箔を切り抜いて、極めて精緻なアカンサス文と波文を表現し、それがガラス碗全体に広がっている。金箔は二つの透明ガラスの碗の間にぴったりと挟まれ、覗きこめば目も綾な景色である。ゴールドサンドイッチ技法の作品の中でトップクラスに位置し、大英博物館が誇る名宝の一つである。 日本に伝わる截金(きりかね)技術を駆使して復元された作品と記録も合わせて展示される。 |