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リュトンの誕生

四千年近く前の地中海域では、末端に穴
を開けた角型のリュトンは主にワインの
フィルターとして、獣頭形のリュトンは
献酒などの儀式に使われました。そして
曲がった角の先端に付けられた獣形に注
口が開けられたリュトンが誕生したのが、
古代オリエント世界を統一したアケメネ
ス朝ペルシアの時代だったのです。 獅子頭装飾杯
獅子頭装飾杯 前アケメネス朝ペルシア
前8−前6世紀 銀、金
野生山羊装飾水差
ペルセポリスのリュトン
ペルシアの都ペルセポリスの宮殿の浮彫に表現された属州からの貢物の中には、アンフォラ形のリュトン(水差)は見られますが、曲がった角形に獣形をつけたリュトンは見られません。この形のリュトンは前5世紀から前4世紀にかけて、小アジアやイラン西部から広まったものと考えられます。
野生山羊装飾水差 前アケメネス朝ペルシア
前8−前6世紀 銀、金
馬形リュトン

国際様式の誕生
ペルシアのリュトン
古代オリエント世界を統一したペルシアは、属領の自治を認めるとともに、各地の優れた資材や人材を集めて都を建設しました。こうしてできあがったペルシアの宮廷様式は、多くの部分で共通する要素を持った、一種の国際様式だったのです。そして間もなくペルシア型のリュトンが誕生しました。
ライオングリフィン形リュトン
ライオングリフィン形リュトン 
アケメネス朝ペルシア 前5−前4世紀 銀
馬形リュトン アケメネス朝ペルシア
前5−前4世紀 銀
エジプトの工房
前4世紀頃エジプトの墓の壁には、金属工房の様子が浮彫されているものがあり、この作品に似たリュトンが製作されている場面も見られます。この浮彫はエジプトにこのような工房がペルシア時代から存在したことをうかがわせます。



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