食器や茶器、また酒器や花器など、私たちは多くの「やきもの」に囲まれて生活しています。どれも手ざわりやかたち、色や模様など種類も豊富です。それは「やきもの」が《みて楽しみ》《さわって感じる》という、双方の性格
を備えているためといえるでしょう。
近代化のつくり手の芸術への意識の高まりは、「やきもの」に大きな転機をもたらしました。《みて感じる》芸術作品として「やきもの」が制作され、実用を超えた自由な表現が可能になります。その後も現代美術の動向と連動しながら、今日まで多彩な展開をみせてきました。
つくり手のテーマは社会的メッセージから個人的な事象まで幅広く、表現の方法もさまざまです。本展では、身近な人物や動物、またうつわなどを題材にした、ちょっと不思議で楽しい「やきもの」を紹介。また、《さわって感じる》展示も試みながら陶の造形表現の魅力に迫ります。
