南館 1999 作品紹介 |
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●展示期間1999年3月16日〜6月10日、7月20日〜8月22日●
ユーラシア大陸の東の大分を占める中国では、古来より様々な文化が生まれてきました。その中で神や祖霊との交流、不老不死、善政、死後の至福への願いがいろいろな動物の表現をとおして表現されてきました。それは、祖先をまつる目的で作られた器の面に表現された神獣であったり、周囲の民族との文化交流の影響をうけて躍動的に表現された動物であったり、邪気を払い、豊かな生活を願ってつくられた動物であったりしました。MIHO MUSEUM 春のオープンでは、中国展示室の一室に、そういう動物たちをあしらった優品約30点を展示します。 |
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臥牛形鎮(一対)
中国 東周時代後期 前4―前3世紀
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鳳凰形装飾
中国 前漢時代 前3―前1世紀
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1998年の開館一周年を機会に、ニューヨーク・メトロポリタン美術館ギリシア・ローマ部門のご好意でシレノス面形把手の特別出展をいただいています。メトロポリタン美術館と当館とは、1992年の美術館建設開始頃より友好をあたため、建築・展示構成にあたっては多大なご協力をいただきました。また1996年夏には、当館のコレクションを陳列した特別展がメトロポリタン美術館で開催されました。 作品は大鍋の縁に取り付けられた把手をかけるための金具で、酒神ディオニュソスの従者シレノスの面を装飾としてかたどっています。酩酊することによって神と一体となることをならいとしたディオニュソス神信仰にまつわる意匠には、葡萄酒と同様に酩酊作用があるとされた蔦の実のモチーフもよく使われ、ここに見られるような冠としてしばしば登場します。青銅製で、赤い唇の表現には銅板がはめ込まれています。 |
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シレノス面形把手
ローマ 伝スペイン・マジョルカ島沖
1世紀前半
【8月22日迄展示】
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男性像頭部
イラン アケメネス朝ペルシア
前6―前4世紀
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モザイクガラス浅鉢
東地中海沿岸
前2―前1世紀
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アケメネス朝の立体的に彫られた人物像の遺例はごく少ないのですが、この像は同時代の小像の頭部であったと考えられます。冠にはかつては彩色が施されていたと想像され、その精緻な細工はペルセポリスの宮殿浮彫に見られる大王あるいは王子の面影を髣髴とさせます。
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この美しい浅鉢は、色とりどりのガラスの小片や、渦巻き文になるようにあらかじめ作ったガラス棒を並べ、溶かし合わせて作られました。この技法はメソポタミアで作り出された、いまだ謎の多い最高の技術です。
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神霊または神官跪座像(一対)
イラン南部または東部か
前3千年紀末期―前2千年紀初期
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一方は人間の体に鳥の爪先を手足に、翼を腕につけ、もう一方は人間の体に偶蹄類の手足を、頭に2本の角をつけています。彼らの顔にはメソポタミアの影響がうかがわれますが、はいているキルトやその姿勢はイラン南部から東部の特徴を示すと考えられています。これらの小像は神あるいは英雄の姿をかたどったものなのでしょうか、謎は深まります。
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西アジアでは紀元前3千年紀以来、神々を、人間の姿に獣の角や猛禽の翼などをつけて表現するようになり、時代や地域によって様々な様式が発達しました。今回の展示では、古代西アジアに展開した神・人間・獣と、それらをつなぐ英雄や聖獣の表現に出会うことができます。
【8月22日迄展示】 |