一昨年88年の人生を舞い収めて生涯を閉じた随筆家、白洲正子の初の回顧展。
白洲正子さんは20世紀とともにありながら、日本人が現在失いつつある大切な源の思想と行き方を、お能、文学、骨董などを通じて論じ、また自身もそのままに歩まれました。その行き方は21世紀へのメッセージだったのかも知れません。多岐に亘るその姿を追体験するうちに、それらの一つ一つが眼に見えない一本の太い心棒で貫かれていることを感じます。秋の信楽の山中で心ゆくまで白洲さんと語り合うほどに、今日を精一杯生きる勇気が湧き、自分自身の立っている場所を再認識したくなる。それが何であるのか、訪れた皆様は、各々の想いをもたれることでしょう。あなたが家を一歩出た瞬間から「かくれ里」への旅はすでに始まっているのです。
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