春季特別展
バーネット・ニューマン 十字架の道行き

ワシントン・ナショナル・ギャラリーの至宝、必見の連作が来日!
この春、見逃せない展覧会です。

会期 2015年3月14日(土)〜6月7日(日)
The exhibition was organized by the National Gallery of Art, Washington, in association with Miho Museum.
主催 MIHO MUSEUM ワシントン・ナショナル・ギャラリー 京都新聞
後援 滋賀県 滋賀県教育委員会 NHK大津放送局 びわ胡放送
   エフエム京都
バーネット・ニューマン
《十字架の道行き:第一留》
バーネット・ニューマン
《十字架の道行き:第一留》
1958年
マグナ、キャンバス
197.8×153.7cm
ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵
National Gallery of Art, Collection of Robert and Jane Meyerhoff1986.65.1
© 2014 Barnett Newman Foundation
  本展は、アメリカ抽象表現主義の巨匠バーネット・ニューマンが8年の歳月を費やして描き上げた代表連作《十字架の道行き》および《存在せよ II》の全15点を、アジア圏で初めて一挙公開するものです。一見無機的なデザインにさえ見えるこれらの15枚のキャンバスと実際に対峙するとき、全く予想外の経験が待っています。
「十字架の道行き」とは
 「十字架の道行き」という主題は本来、イエス・キリストの受難を死の宣告や磔刑など14の場面であらわす、伝統的なキリスト教的図像です。しかし本連作は、そのような逸話を描いたものではありません。
 ニューマンの真のテーマは、その副題“レマ・サバクタニ(何ぞ我を見捨てたもう)”──十字架の上でイエス・キリストが叫んだとされる言葉──に隠されています。
 「イエスのこの叫び。ドロロサの道を登っていく恐ろしい歩みではなく、答えのない問いである。・・・われわれとともに、イエス以来の─アブラハム以来の─アダム以来─の、かくも長く、始原の問いである。」とニューマンは述べています。この「答えのない問い」とは何でしょうか。彼は、奇しくも自身が生きている時代に到来した悲劇、アウシュヴィッツとヒロシマを経験した人類について、「ギリシャから二千年のちに、ギリシャ人たちの悲劇的な立場にとうとう到達してしまった」と考えていました。多木浩二氏は、“レマ・サバクタニ”は、「彼にとっては・・・みずからが作りだしてしまった暴力的世界に対して答えられない問いを突きつけられた人間の悲痛な叫び」だと主張しています。また多木氏は「彼は・・・八年の歳月をかけながら、こうした悲劇的世界をいかに絵画に固有な強度で超えようと努力するかが芸術家の仕事だと感じつづけていたちがいない。」とも述べています。(以上すべて鉤括弧内は、多木浩二『神話なき世界の芸術家─バーネット・ニューマンの探究』岩波書店1994年より引用。)
バーネット・ニューマン(1905-70)
  20世紀を代表する画家の一人であり、ジャクソン・ポロック、マーク・ロスコらとともに、アメリカ抽象表現主義の中核的存在として並び称されています。抽象表現主義とは、第二次世界大戦後のニューヨークに現れた美術の動向で、アートの中心をフランスのパリから、アメリカのニューヨークに移動させました。真のアメリカ美術の出発点であり、現代美術の出発点とも言えます。
  そのような画家たちの中でも、ニューマンは取り分け精神性が高く、芸術の本質を表面の技工にではなく、あくまでもその内なるものに求め、神話を欠いた現代社会においていかに崇高な芸術を創造していけるのか、という課題に真正面から挑み続けました。
20世紀抽象絵画の金字塔 バーネット・ニューマンの「十字架の道行き」は、抑制された色彩と厳密な構成によって生み出された崇高端正な名作であり、20世紀抽象絵画の記念すべき金字塔である。
高階秀爾(大原美術館館長)
ワシントン・ナショナル・ギャラリーにおける《十字架の道行き》展示風景(部分)
 (「七人のアメリカの巨匠展」1986年6月4日─11月15日より)Photo by Kathleen Buckalew. National Gallery of Art, Washington, Gallery Archives



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