MIHO MUSEUM ごちそう編
おいしいって 美しい
─ワインの巻─
秀明自然農法の赤ワイン グランダーマ
秀明自然農法の赤ワイン グランダーマ
  マタイによる福音書には、次のように書かれています。
 「一同が食事をしているとき、イエスは・・・杯を取り、感謝の祈りを唱え、彼らに渡して言われた。皆、この杯から飲みなさい。これは、罪が赦されるように、多くの人のために流されるわたしの血、契約の血である。」
  イタリア・ミラノにある世界遺産・サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会には、レオナルド・ダ・ビンチの有名な「最後の晩餐」が描かれています。僧院の食堂にあったこの絵を見ながら修道士たちは、最後の晩餐に招かれイエスの杯からワインを頂いて、その魂に触れることを願ったのでしょう。中世の多くの僧院にはぶどう畑が付属し、典礼のためのワインを修道士たち自身が醸造していました。今に続く名作ワインには、そんな僧院の畑に始まるものが少なくないと言います。
  ミラノから80kmほど南下したゴディアスコ村に、サクラファミリアというワイナリーがあります。世界的な有機ワイン研究の権威で、ウーディネ大学・食品科学部主任教授のロベルト・ジローニ氏は、サクラファミリアについてこう述べています。「技術的に絶対に不可能と思っていた醸造法だ。」「自然農法で究極のクオリティーを得るために、妥協のない栽培法や収穫法を取っているワイナリーは、イタリアでは他に存在しない。」
  サクラファミリアのワインは、どこが違っているのでしょう?下表をご覧下さい。
グランダーマのぶどう畑
グランダーマのぶどう畑
サクラファミリアのワイン
慣行農法のワイン
肥料・農薬
肥料、農薬を全く使用しない。
肥料、殺虫剤、除草剤などを使用する
収穫時期
ぶどうが自然な完熟に達する10月に収穫。
最大限の収量を得るために、8月〜9月に収穫。
雨による腐敗、虫や野生動物による捕食を避けるため。
収穫法
一粒一粒、手摘みで選別しながら収穫する。醸造前にもさらに丁寧に粒を選別する。
多くの場合、機械摘み。
発酵の酵母
自然な圃場の環境に住み着くハチがぶどうの房に運んでくる天然酵母だけで発酵させる。
人工酵母を添加する。
酸化防止剤
無添加(天然の酸化防止成分・硫黄化合物がごく少量発生するため)。
酸化防止剤を添加する。
醸  造
自然のままのぶどうの皮がワインに豊かな味わいをもたらしてくれる。
テイスティングで好ましいとされる味と酸味を得るために、添加物で調整する。
  今日のワイン醸造の常識では、化学物質あるいは有機ワインで認可されている物質を添加しない限り、クオリティーの高いワインは作れないとされています。 敬虔なクリスチャンで、サクラファミリアを営むアンナとミンモ夫妻は、福音書の最後の晩餐の記述にあるような純然たるワイン作りを目指し、病気予防の天然硫黄以外一切使用しない有機ぶどうで、ワイン醸造を続けて来ました。 そして、2008年に更なる純粋さを求めて硫黄を使うことさえも止めた時、膨大な手仕事と収穫量の減少が、彼らに襲い掛かったのです。けれども出来たぶどうは、考えられない高品質となりました。自然農法への転換後1年でワインは全く異なる味わいとなり、サクラファミリア自身がびっくり仰天、食品のクオリティーを結晶活力で判定する、革新的な手法を取り入れたスイスのある研究機関の分析調査では、ワインの持つ生命エネルギーとクオリティーが10段階評価でオール9(慣行農法のワイン:1〜3)を記録するという、驚異の飛躍を遂げました。
  以来7年が過ぎ、3種類の自然醸造ワインが完成したのです。グランレ(偉大な王様)は、樹齢の高い木がある圃場のぶどうをブレンドした赤ワインで、果実が醸し出す深い味わいとともに芯のある香り高さが漂います。グランソール(偉大な太陽)は琥珀のような黄金色で、完熟した白ぶどうの味わいと香りが燦然と輝き、光のように心の奥深くへと射し込みます。
グランダーマ(偉大な女性)は、サクラファミリアが最初に生み出した自然農法赤ワインです。芳醇な香りと気品、母の抱擁のような繊細な優しさに包まれて、美しい余韻に満たされます。
  これらのワインは全て、「祈りのぶどう畑」に流れる美しい自然の息吹を伝えてくれます。「ソムリエが言葉を失う」と評される奇跡のワイン、喫茶パインビューにてテイスティング頂けます。機会があれば、ぜひお試し下さいませ。
サクラファミリアのミンモとアンナ
サクラファミリアのミンモとアンナ



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