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![]() マダガスカルのバニラビーンズ
![]() バニラの豆とさやを牛乳に投入
![]() 薄いレモンイエローの卵はぷるぷる
![]() バニラ入り牛乳を人肌に温める
![]() できたてのアイスは、 とろりとしたソフトクリーム状態です。 |
![]() バニラアイスは数々あれど、お味はすべてちがうもの。MIHOMUSEUMのバニラアイスは、なぜか太陽の味がします。さっぱりしながらコクがあり、豊かなバニラに包まれながらとろける幸せ。その決め手はマダガスカルの自然農法バニラ、そして自然農法の牛乳と卵です。
マダガスカルと言えば、アフリカの東に浮かぶ日本よりちょっと大きな島国、ここは世界のバニラの70%以上を生産しています。なんでもバニラの花は朝に開いて夜に落ちるので、その日の内に受粉しないと豆ができないのだとか。女性たちが手作業で1日800個もの花を受粉させた実りが、このアイスに詰まっています。包丁で開いた途端にバニラの香りが立ち昇り、中には小さな粒がぎっしり、香りが少しでも移るようにと職人さん、さっそくバニラの豆とさやを牛乳に投入しました。
さて熊本のある牧場では、大自然の牧草だけでジャージー牛を育てています。山のてっぺんを切り拓いた東京ドーム3個分の敷地に、30頭の牛がのんびり暮らしているのです。薬剤を使わず大事に育てられた牛のミルクは、甘くコクがありさっぱりしたお味!生産者さんによると、牧草を食べている牛の乳には、すぐに溶けて体に良い不飽和脂肪酸が含まれるそうで、見た目はクリーミーな黄色ですが、確かにこのさっぱり感は市販の牛乳と全く違います。ただこの牛乳、届くたびにあっと驚く味の変化が起こるのです。甘みの濃さ、匂いの強さ、濃厚なもの、水かと思うほどさらさらしているもの、職人さんはびっくりしながら、その都度オリジナルのアイスクリームを作ります。
一方、材料の卵はこれまた特別に育てた鶏のもの、エサは自然農法の糠やくず米が主で、雑草を刈って細かくしたものと牡蠣ガラも与えます。市販のエサや薬は一切使わず、鶏たちの住まいは運動場付き。薄いレモンイエローの卵はぷるぷるで実においしそう。
料理本にいわく「バニラ入り牛乳を人肌に温め、卵黄・砂糖・生クリームを合わせて温めたものを加え、とろみが出るまで温める。」とのことですが、当方の材料、なぜかとろみが出て来ません。牛も鶏も幸せに生きていると、何かが違って来るようです。そして混ぜる温度が65度を超えるとばさばさのアイスになり、できた原液をアイスクリーマーに入れる時、冷え過ぎた機械に入れるとアイスクリームがぼろぼろに。この厨房では豆乳アイス、チョコアイス、たまにほうじ茶アイスなども作りますが、こんなに温度に敏感なのはバニラアイスだけ、まるで赤ちゃんを扱うように丁寧に作っていきます。 さあ、出来たアイスを取り出すと、とろりとしたソフトクリーム状態です。羽根に乳脂肪がびっしりついていることもあり「できたてを味見できるのは作った人だけ。」とにっこり微笑む職人さん。 |
お味は・・・あ〜沁みますね〜。マダガスカルの太陽をまとったバニラの香り、さらりとしたミルクの風味、ひゅ〜っと溶けていく甘みが舌に残り、一切の雑味がありません。たまに乳脂肪の粒が現れ、すっと消えながらお味にアクセントを与えます。でもこのアイス、頂くたびに味がちょっと変わります。最初のアイスは遠い昔のなつかしい陽だまりの味、2回目はなめらかで、涼しい日陰でレースのハンモックに揺られるような優雅なお味、牛乳の違いなのでしょうか。四季のある日本の食べ物は、やっぱり季節で味が変わり、それぞれに美味しいっていうのが本来の姿かもしれません。こりこりした素朴なチュイールと共に、ぜひご賞味下さいまし。 |