MIHO MUSEUM ごちそう編
おいしいって 美しい
─あんドーナツの巻─

1. 最初の種

2. 一晩で膨らんだ中種

3. 膨らんだ本種

  香ばしく揚がったあんドーナツをぱくり、ふわっと立ち昇る素敵なパンの香り、とろける漉しあんがほのかな甘みを加えてのどの奥に広がります。これなら「揚げ物が苦手、あんこはちょっと・・・」という方でも召し上がれそうです。いったいどうして、こんなにも透明な香りなのかしら?
  まずはドーナツ生地、膨らますのはフルーツに付いた天然酵母です。ぶどうやみかんやいちごなど、季節によって様々なフルーツに育てられます。天然酵母は一種類ではありません。様々な香りの酵母菌、時には乳酸菌やほかの菌がいっしょになって働きます。秀明自然農法の農薬・肥料のかかっていないピュアなフルーツだけを食べて増えた酵母菌たちは、お互いに協力しながらパンを膨らますのです。
  うちのパン屋さんも大したもので、こっそり市販のイースト菌でパンを作ってくれました。あっ、これは町でよくあるパンの香り。イースト菌だったのか。それに比べて天然酵母の、何と複雑でピュアな香りであることか。
  天然酵母は美味しいのですが、膨らましパワーはイースト菌に劣ります。パン屋さん曰く「天然酵母は多民族国家、まとめるのが大変です。」そして2日も前から培養を始めました。お湯とフルーツで酵母液を作り、粉をちょっと入れた最初の種を作ります。次の日には牛乳と粉を加えて中種を作り膨らませます。やっと当日、ぷっくりと膨らんだ種に卵、バター、粉と砂糖を加えて捏ねると、もうパンの香りがふくふくと広がります。酵母のご機嫌を取るには、熱からず寒からずの温度が大事、作業の器、道具や粉温度にも気を使い、上手に酵母を増やして行きます。

  本捏ねをした種を2時間置くと、限りなくやわやわと育っていました。分割し、表面のグルテン膜で包んで一休み。酵母たちが作ってくれた良い香りの空気を、決して外に逃がさないよう作業を進めます。いよいよ餡を入れて再び酵母増殖タイム、季節や温度を感じては、酵母の気持ちで温度を変えます。
  中身の餡は茜大納言小豆。やわらかく炊いて濾したら、あまり練らずにあっさり仕上げ。油やパンに出会っても餡がすーっと溶ける感じが、さっぱり感を醸し出します。
  材料は秀明自然農法のものばかり。自然放牧の牛乳とバター、卵は自然農法野菜と米ぬかで育った鶏のもの、小麦、お砂糖、小豆はどれも農薬・化学肥料フリーで、生産者が心を込めて育てたやさしい味わいです。
  さあ、まるまると膨らんだパンを揚げる時がやって来ました。飛び出すほどに軽々と浮かぶドーナツたち。表と裏をそれぞれ揚げると、浮いた中央部分にホワイトリングが姿を現します。でき上がりのほっかほかを、さあどうぞ。

4. 餡もたっぷり

5. ホワイトリング現る



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